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“I love you, man. Always have, always will.”

2019年10月は、コロナ騒ぎが始まる直前だった。
上海出張の帰りの飛行機の中で、“Rocketman”の映画を見た。
エルトン・ジョンの半生を彼の音楽でミュージカル仕立てにしたものだった。

私は流行りものの音楽はまったくついていけず、何の曲だか誰が歌っているのか全くわからないのだが、エルトン・ジョンだけはちょっと知っていた。ホームステイ先で彼のコンサートに連れて行ってもらっのがきっかけで、少し聞いてみたりしていた。

話は映画に戻る。
“Rocketman”の映画に号泣してしまった。
飛行機の中で、号泣中の号泣。

~ここから少しネタバレかもしれないので気をつけてください。~

エルトン・ジョンは両親に愛されず孤独な少年だった。
「両親に愛されたい」という思いを抱き続けたまま、大人になった。
すっかりスターになったあとも。

最後まで彼は親に愛されることなかったが、仕事ではバーニー・トーピンという素晴らしいパートナーを得る。

Elton John : Bernie, I never told you how much I need you.
Bernie Taupin : No, no. I love you, man. Always have, always will.

エルトン・ジョン:バーニー、今まで言ったことがなかったけれど、自分が君をどれだけ必要としていることか。

バーニー・トーピン:そんなことはわかっている。君は大切な人だ。これまでだってそうだったし、これからだって。

バーニーが詞を書き、エルトンが曲を作った。
いつも順風満帆な友情であったわけではないけれど、お互いに「大切に思っている」と言える関係だった。

エルトンが一番望んでいた親の愛情は得られなかったけれど、素晴らしい友情が得られたのがせめての救い。

自分のことをずっと大切に思ってくれる人がいるって素晴らしいですね。
そんなことをしてくれる人を見つけるのは難しいけれど、自分が誰かを大切に思うことならできるからしたいと思う。

その誰かは、もちろん私の息子です。

“I love you, honey. Always have, always will.”

“Things can Change.”

仕事の悩みが尽きない。

一番の悩みは、やっぱり人間関係。
私の仕事は他部署との連絡が必然なのだが、その他部署とうまくいっていない。
お互い役割分担があるのに、他部署からは「そっちがやれ!」と仕事を押し付け合られる感じ。
こちらがやっても当たり前のような顔をされる。

あ~、悲しい。。。
この8か月間で、辞めたいと何度思ったことか。
(なんと、まだ転職したばかり💦)

フリーランスになりたいなとこの数年間思っている。
給料をもらう身だと、自分の興味のないこと、自分の意思に反していること、楽しくもないことに自分の時間を無駄に費やしているようで。
でもだからと言って、勤めを辞めて、独立して、いったい何を仕事としてお金を稼ぐのかがわからない。
いっときの感情で辞めてしまっては、経済的に困るのだ。

こんな感じで何年ものときを過ごしてしまった。
いつものようにぼやいていたら、こんなことを言われた。

Things can change.

いつか状況も変わるかもよ。

ものごとを無理に変えようとしなくても、自然に変わっていくこともあるからね。
ものごとを変えられなければ、ものごとが変わるのを待つしかないか。

私の場合、どんな変化がありえるだろう。
関係部署の人たちがみんな異動して、新しい人が来るとか?!
それとも、うちの部署の上司がえらい権力を持った人に交替して、他部署の人たちを従わせるとか?!
それとも、私が独立できる良い仕事のオファーが来るとか?!

どんな変化が起こるか楽しみになってきた。
それまでなんとか生き残ることにしましょう。。。

“You have a beautiful son.”

私には息子が一人いる。
もうすぐ14歳になる。

あっという間に大きくなった。
ついこの間まで、足が短くてよちよち歩きがかわいかった私の息子。
今では足がすらりと伸びて、ずいぶんスタイルが良くなっちゃったじゃないの。

ここまで大きくなっても、まだかわいい。
以前と同じかわいさではないけれど、今は今で、とってもかわいい。

でも、私の息子に会ったこともない人から、

You have a beautiful son.

(参考訳)あなたには素晴らしい息子がいるじゃないの。

と言われて、なんだか納得がいかなかった。
私の息子に会ったこともないのになぜそんなことを言うの?!

その後、別の人にまた言われたとき、あらためて考えた。
なんでそんなことを言うのかを。

よく考えたら、こどもは素晴らしいに決まっている。
自分のこどもでなくても、息子のお友だちでも、男の子でも女の子でも、みんな素晴らしいと思う。
こどもって、存在自体が尊い。
いてくれるだけで素晴らしい存在。

。。。そうなると、私の息子が素晴らしいのは誰の目にも明らか?!

今度またそう言ってもらえたら、私もこう返してあげよう。

Yes, thank you, just like yours.

(参考訳)ありがとう。そうなんです、あなたのお子さんのようにうちの子も素晴らしいんです。

“Remain the same.”

先日、勤務している大学に、海外の大学から複数の教員が訪問した。
主要な目的はうちの大学の役員との会議だったけれど、その前にキャンパスを案内することになった。それが私の役割になった。

私の普段の業務は、自分の机の上で文書を作成することなので、自分の職場の建物以外、キャンパスを歩き回ることもないから知らない。

キャンパスツアーでは、どこにどんな施設があってだけの説明ではなくて、どんな学部や院があって、学生が何人いてなど、大学の主要な情報だって質問されるに決まっている。
私が人におしえられるわけがない。私がおしえてほしいくらいなのに。

そうはいっても仕事なので拒否できるわけでもなく、事前に付け焼刃で最低限の知識を詰め込み、キャンパスツアーにお客さんを1時間も連れまわした。

予想どおり、ろくな案内はできなかった。

だけれど、一生懸命な私の気持ちは伝わったようで、ツアーの終わりにこう御礼を言ってくれた。

Thank you for your hospitality. You’re great! Remain the same.

(参考訳)おもてなしをありがとう。君はすばらしいね。そのままでいてください。

この言葉の裏には、こんな意味が含まれている。
”努力してもっと良くなろうとしなくていい。そのままで十分良いから。”
… 最高の誉め言葉じゃないですか。
そんな言葉が自然と口に出せる彼を尊敬するとともに、私もそうありたいと思った。

本当は「そのままでいいはずがない」と思っている自分がいる。
「これでいいなんて思うな。努力して努力して、もっともっと良くならなきゃだめだ」と思い込んでいるところがある。

学校や家庭でそう言われ続けたから。
職場でもダメ出しを受けることもしばしば。
たぶんこれは日本の風潮。

日本人の自己肯定感の低さはここから来ているように思う。
こうやってみんなでで自分の首を絞めて、自分を生きづらくさせる。

UnsplashDakota Corbinが撮影した写真)

Remain the same. と同じような意味で、「ブリジット・ジョーンの日記」の映画に出てくるこんな表現を思い出す。

I like you very much. Just as you are.

(参考訳)あなたが大好きです。そのままのあなたが。

初めてマークがブリジットに告白をする場面の言葉。
自己肯定感の低いブリジットに、最高に嬉しい言葉となるのでした。

“That’s wonderful! I respect your idea.”

That’s wonderful! I respect your idea.

(参考訳)素晴らしい! あなたの考えを尊重するよ。

この言葉を言われたときは、「私の英語、通じなかった?」と一瞬いぶかった。
なぜなら、私が言ったことは、彼にとって全然 wonderfulではないはずであり、respectされるようなものではなかったからだ。

彼が「付き合って」と言ってきたので、私が断ったのだ。
私は言葉を変えてまた断った。

彼はまたもや私の意見を褒めたたえるようなことを言う。

私の脳内はこんな感じ。
「いったいどういうこと?! 
この人、振られたのに、怒ったりがっかりしないの?!」

自分と反対の意見を言う相手に「その考え、素晴らしい!」なんてとても言えるような広い心を、私は持ち合わせていない。

それから何年も経ったあと、同じような場面で同じようなセリフを映画で見つけた。
それは、ジュリア・ロバーツとヒュー・グラント主演の「ノッティングヒルの恋人」だった。

*青い看板のお店は映画「ノッティングヒルの恋人」の撮影に使用されたそうです
UnsplashNoralí Naylaが撮影した写真)

Fine. Good Decision. Good Decision. 
(参考訳)素晴らしい。良い決断。良い決断だわ。

 - “Notting Hill” starring Julia Roberts and Hugh Grant

ウィリアム(ヒュー・グラント)がアナ(ジュリア・ロバーツ)を振ったときに、アナが言うセリフである。

「アナ、あんたもかい!」と私。
映画の中のアナも、あのときの彼もアメリカ人。
「アメリカ人って、心が広いんだ!」という大発見。

そんな心の広い人に私もなりたい。
その目標は、正直、かなり遠い。。。

“Well now, I’d rather have you than a dozen boys, Anne.”

「赤毛のアン」は間違いなく私の殿堂入りのお気に入りの物語だ。
「赤毛のアン」はいわゆるアン・シリーズの最初の作品で、全9作品。
高校のときに翻訳本を、大学のときに英語の原書で全作品を読んだ。

この物語の私の好きなポイントはいくつかある。
そのうちのひとつが、アンへのマシューの深い愛情だ。
マシューとマリラと出会うまで、アンは愛情に恵まれなかった。

アンは3歳のときに両親を感染症で亡くす。
それからは、知り合いや孤児院に預けられ、まだ小学生ながら使用人のように扱われた。
愛されることのないこども時代を送ってきたのだ。

そして、11歳のとき、マシュー(兄)とマリラ(妹)の兄弟のもとへと預けられた。
当初、アンは送り返されるはずだった。
なぜなら、本来はマシューの農場を手伝わせる男の子が欲しかったのだが、手違いで女の子のアンがやってきたのだ。

このことをアンは決して忘れておらず、マシューが男の子を雇うことにしたときにも「自分が男の子だったら期待に応えて農家の手伝いができたのに」とこぼす。
そんなアンに、マシューはこう返す。

Well now, I’d rather have you than a dozen boys, Anne.
(参考訳)1ダースの数の男の子よりもアンがいいんだ。

Anee of Green Gables written by L.M. Montgomery

マシューは恥ずかしがり屋で、口数が少ない。
だからこそ、数少ないマシューの言葉には重みがある。

こんなこともあった。

アンはめったに贅沢はしないし欲しがらないのだが「今流行りのパフ・スリーブのドレスだけはどうしても着てみたい」と言ったことがあった。
マリラは言語道断とばかりに耳を貸さなかったが、マシューはめったにないアンの願いだからとパフ・スリーブのドレスをアンに買ってきてあげた。 このとき、アンがどんなに喜んだことか。

アンらが住んでいたアボンリーの町 (UnsplashCarl Campbellが撮影した写真)

マシューの言葉に戻る。
マシューの言葉はもう少し続く。

‘Well now, I’d rather have you than a dozen boys, Anne’, said Matthew patting her hand. ‘Just mind you that – rather than a dozen boys. Well now, I guess it wasn’t a boy that took the Avery scholarship, was it? It was a girl – my girl – my girl that I’m proud of. ’

Anee of Green Gables written by L.M. Montgomery

(参考訳)「1ダースの数の男の子よりもアンがいいんだよ、アン。」とマシューはアンの手を撫でた。「いいかい、1ダースの数の男の子よりもだよ。アベリー奨学金を獲ったのは男の子じゃなかっただろう? それは女の子だった。私の女の子だった。私の自慢のね。」

家族に恵まれなかったアンが「私の女の子」 と言ってもらえたこと、さらに 「自慢の女の子」と言われたこと。
どんなに嬉しかっただろう。

マシューの深い愛情に感動。
アンをたくさん愛してくれたマシューに感謝。

“The United States is not the only country in America.”

今日は、“America”“America” だけじゃないという話。
これだけだとなんのことやらわからないと思うけれど(笑)

アメリカ合衆国という国の呼び方は複数ある。

  • America
  • The United States of America
  • The United States
  • The U.S.
  • The U.S.A.

私は長い間、アメリカ合衆国のことを英語で “America” と呼んでいた。
なぜなら、学校の教科書では “America” として記載されていることが多かったから。

だが、あることをきっかけに “America” と呼ぶのをやめた。
それは、サンブランシスコの語学学校でのブラジルのクラスメートの発言がきっかけだった。

The United States is not the only country in America.
(参考訳)アメリカ合衆国は、アメリカ大陸の唯一の国ではない。 

彼が指す “America” は、アメリカ大陸のことだった。

Americaっていうのは、アメリカ大陸のことで、北アメリカ大陸と南アメリカ大陸のことを言うんだ。
アメリカ合衆国は、アメリカ大陸にある唯一の国なんかじゃない。
ブラジルも America の国だし、ブラジル人の自分だってアメリカ人なんだ。
Americaっていうのは、アメリカ合衆国だけのことを言うんじゃないんだ。

ええっ、そうなの!?
ごめん、知らなかった。
これからはもう “America”“America” って呼ぶの、止めるね。。。

・・・というわけで、それ以降、アメリカ合衆国のことを ”America” とは言わないようにしている。
代わりに “The United States”と言うようにしている。

リオ・デ・ジャネイロのキリスト像 (UnsplashRaphael Nogueiraが撮影した写真)

“You deserve to be happy”.

“You deserve to be happy.”
(参考訳)幸せになっていいんだよ/あなたには幸せになる価値がある。

初めてこの言葉を言われたとき、泣きそうになった。

私にその価値がある?!
私のことなんかろくに知らないくせに。
軽々しく言わないでよ。

・・・

いや、待てよ。
幸せになっちゃいけない人なんか存在しない。
そしたら、私だって幸せになって悪いはずがない。

UnsplashKarl Fredricksonが撮影した写真

幸せになりたいなんて、思って良いのかわからなくなるときがたくさんあった。
いや、幸せになりたいと思う暇がなかったのかもしれない。

家でも職場でもしなきゃ片付けなきゃいけないことが山ほどあって、いくらやっても終わりが見えない。
幸せとかなんとか言う前に、「この山をなんとしろ!」って言われている気がして。

誰に言われている?
小さい頃は、親と学校の先生に。

社会に出たら、幽霊のようにいつもただよっている、親や世間に。

UnsplashSzilvia Bassoが撮影した写真

“You deserve to be happy.”

何度も言ってもらえたかわからないくらい言ってもらった。
私も幸せになって良いのね。
おしえてくれてありがとう。

私みたいに感覚が鈍っている日本人へ、今度は私がこの言葉を伝えたいと思う。

“Will you marry me?”

あなたはパプアニューギニアの方にプロポーズされたことがありますか?
私はあります(笑)まあ、冗談でしたが。

そもそも「パプアニューギニアってどこよ?!」という方のために。

パプアニューギニアは、オーストラリアから北東に位置する島のうち、東半分の領土を有する国です。西半分は、インドネシアの領土です。下の地図だと黄色のエリアです。

オーストラリアの北東にある島の黄色の地域がパプアニューギニア 
UnsplashJon Tysonが撮影した写真

それは、まだ私が20歳頃の話でした。

当時、青年招へい事業「21世紀のための友情計画」という政府の事業があり、アジアや太平洋諸国の若者たちを1か月間日本に招待し、日本人との交流し、日本の文化を知ってもらう機会を提供していました。

彼はそのプログラムに参加し、私もそのプログラムの一部であった「合宿セミナー」に私が参加したのです。

彼とは同じグループとなったので、何かと一緒に行動していました。
私は彼になんだかとても気に入られていました。

私はというと、彼だけが特別というわけではなかったのですが、つたない英語で彼らと一緒に話したり行動したりすることがとても楽しかったです。

3日間の合宿が終え、彼らがいよいよ帰国するときに、都心のホテルの送別会に招待されて出席しました。
彼は私が来たことをたいへん喜んでくれ、そして笑いながら照れながらこう言いました。

“Will you marry me?”

“Will you marry me?”
(参考訳)結婚してください!

その場にはたくさんの人たちがいて、みんな「あらあら、冗談でもそこまで言っちゃう?」と半分呆れ、半分笑い。
今ではとても良い思い出となっています。

その冗談のプロポーズも含めて、そのときの合宿セミナーがとても楽しかったので、その後も毎年のように参加しました。
そして、そのプログラムに関わる仕事をすることが私の長年の夢でした。

その夢がかなう様子は残念ながらいまだにないのですが、自分がやりたいことは何かを考えるとき、この合宿セミナーの経験を思い出すのです。

パプアニューギニアの国旗 
UnsplashSpencer Wunginが撮影した写真

“Life is short.”

私の人生において、『仕事のやりがい』、『お金』、『プライベート』の3つのバランスをとるなんて、うまくいった試しがない。

半年前、私は転職した。

前職では、どちらかというと『仕事のやりがい』に重きが置かれ、『お金』と『プライベート』のストレスがたまりにたまって辞めてしまった。

現職に転職したのは、『お金』と『プライベート』が改善する当てがあったこと、『仕事のやりがい』は前職よりは少し落ちるがまあなんとかなるレベルは保てるだろうとの見込みがあったことから。

転職しての実際は、『お金』と『プライベート』は予定どおり改善。
ただ、『仕事のやりがい』が期待していたほどではなかった。
いや、かなり下がった。

この半年間で“辞めよう”と思い詰めたことが何度もあった。
そのたびに、やっと手に入れた『お金』と『プライベート』を手放すのが惜しくなり、踏みとどまっている。

転職はこれまでも何度かしてきた。
この3つができるだけ満足できる環境を求めてのことだ。

UnsplashLuis Villasmilが撮影した写真

ここで、話を少し変える。

アメリカの地方都市の私立大学で副学長をしているクリストファー(仮称)。
彼は私の友人の友人というご縁で、彼に夕食をごちそうになったことがあった。

彼は、別の大学での職を探していると言う。
アラフォーという若さで大学の要人となった彼には名誉もお金も十分に与えられているだろうに、いったい何に不満だと言うのか。

聞くと、『仕事のやりがい』に不満があるらしい。

そうですか。あなたもですか。

そして、こうのたまう。

“Life is short.”

UnsplashJonathan Pendletonが撮影した写真

“Life is short.”
(参考訳)人生は短いのだから楽しまなくちゃ。時間を無駄にしちゃだめ。

知ってる、知ってる、よ~く知っている。
その言葉なら、何度も見たし、聞いている。
なんなら、最近飲んだコーヒーの紙コップにも書いてあったわ。

わかっているからこそ、人生ずっともがいているんじゃないの。
“Life is short.”はもう聞き飽きた。
お説教はいらない。誰か私に最適解をください。