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“There was something very special, but it wasn’t inside Josie. It was inside those who loved her.”

職場の方が カズオ・イシグロ “Klara and the Sun(邦題 クララとお日さま)” の本を貸してくれた。夢中になって読んだ。

主人公のクララは、AI搭載のロボット。
ジョシ―という14歳の女の子のともだち兼お世話係として購入される。
だが、クララの本当の役割は、病気がちなジョシーが亡くなったあとのジョシーの代わりとなるためだった。
クララは、ジョシ―の言動を観察して習得していく。
結局、ジョシ―の体調は回復していき、クララの役割も不要となった。
そして、クララは捨てられる。

AIはどこまで人間に近づけるのか。
人間とAIの違いは何なのか。
感情は人間だけのものなのか。

そんなことを考えさせらた。

UnsplashAlexander Sinnが撮影した写真)※画像と本文は関係がありません


一番印象に残った言葉は、最終章のクララの言葉。

ジョシーそっくりの人工人間を作成していたカパルディーが「ジョシーからコピーできないものは何もない」言ったことに対して、クララが話す。

There was something very special, but it wasn’t inside Josie. It was inside those who loved her.

引用元: “Klara and the Sun” written by Kazuo Ishiguro

コピーできない特別なものはある。それはジョシーの中にはない。彼女を愛する人々の中にある。

両親、友人、お手伝いさんなど、彼女を愛する人々の中のジョシーへの思いや思い出をコピーすることはできない。
物理的なものをコピーできても、その人へ向けられた感情はコピーできない、ということか。
その視点がとても新しい。

そして、それを言ったのが、ヒトではなくAI搭載のロボットのクララであること。
人間性ってなんだっけ? ヒトは人間性ってなんだかわからなくなったの。
クララ、もっとおしえて!

“Klara and the Sun“、圧巻でした。