「赤毛のアン」は間違いなく私の殿堂入りのお気に入りの物語だ。
「赤毛のアン」はいわゆるアン・シリーズの最初の作品で、全9作品。
高校のときに翻訳本を、大学のときに英語の原書で全作品を読んだ。
この物語の私の好きなポイントはいくつかある。
そのうちのひとつが、アンへのマシューの深い愛情だ。
マシューとマリラと出会うまで、アンは愛情に恵まれなかった。
アンは3歳のときに両親を感染症で亡くす。
それからは、知り合いや孤児院に預けられ、まだ小学生ながら使用人のように扱われた。
愛されることのないこども時代を送ってきたのだ。
そして、11歳のとき、マシュー(兄)とマリラ(妹)の兄弟のもとへと預けられた。
当初、アンは送り返されるはずだった。
なぜなら、本来はマシューの農場を手伝わせる男の子が欲しかったのだが、手違いで女の子のアンがやってきたのだ。
このことをアンは決して忘れておらず、マシューが男の子を雇うことにしたときにも「自分が男の子だったら期待に応えて農家の手伝いができたのに」とこぼす。
そんなアンに、マシューはこう返す。
Well now, I’d rather have you than a dozen boys, Anne.
Anee of Green Gables written by L.M. Montgomery
(参考訳)1ダースの数の男の子よりもアンがいいんだ。
マシューは恥ずかしがり屋で、口数が少ない。
だからこそ、数少ないマシューの言葉には重みがある。
こんなこともあった。
アンはめったに贅沢はしないし欲しがらないのだが「今流行りのパフ・スリーブのドレスだけはどうしても着てみたい」と言ったことがあった。
マリラは言語道断とばかりに耳を貸さなかったが、マシューはめったにないアンの願いだからとパフ・スリーブのドレスをアンに買ってきてあげた。 このとき、アンがどんなに喜んだことか。
マシューの言葉に戻る。
マシューの言葉はもう少し続く。
‘Well now, I’d rather have you than a dozen boys, Anne’, said Matthew patting her hand. ‘Just mind you that – rather than a dozen boys. Well now, I guess it wasn’t a boy that took the Avery scholarship, was it? It was a girl – my girl – my girl that I’m proud of. ’
Anee of Green Gables written by L.M. Montgomery
(参考訳)「1ダースの数の男の子よりもアンがいいんだよ、アン。」とマシューはアンの手を撫でた。「いいかい、1ダースの数の男の子よりもだよ。アベリー奨学金を獲ったのは男の子じゃなかっただろう? それは女の子だった。私の女の子だった。私の自慢のね。」
家族に恵まれなかったアンが「私の女の子」 と言ってもらえたこと、さらに 「自慢の女の子」と言われたこと。
どんなに嬉しかっただろう。
マシューの深い愛情に感動。
アンをたくさん愛してくれたマシューに感謝。